超新星爆発に焼かれて

宇宙に関する本を読んでいると、いろんな事実に気付かされます。その中から興味深かったものをひとつ。

原始の宇宙には、物質は水素とヘリウムしか存在しませんでした。それより重い物質、元素番号で3番以降の物質はどこで生成されたのかと言うと、太陽のような恒星の中心です。

恒星の中心では、その巨大な重力によって物質が圧縮され、核融合を起こします。それによって、物質はより重い元素に変化し、その時に放出されるエネルギーによって恒星は輝くのです。

核融合によって、水素からヘリウム、ヘリウムからリチウム、リチウムからベリリウム・・・と重い元素が作られていくのですが、恒星の中心で作られるのはFe、つまり鉄までなんだそうです。じゃあ、それ以降の物質はどこで作られるのか?それが表題の超新星爆発の中です。

鉄まで作ってしまった恒星は寿命を迎えるのですが、ある一定以上の大きさを持つ恒星の場合、このあと自らの重力で急速に収縮していきます。そして収縮が限界を超えた時、大爆発を起こします。これが超新星爆発なのですが、その爆発のエネルギーはすざましく、爆発の瞬間に発せられる光は、銀河全体の恒星の輝きより明るいほどです。

この超新星爆発の渦中で鉄より重い元素が生成される、というのが現在の宇宙物理学の定説らしいのですが、私が興味を持ったのもこの部分です。というのも、現在の我々の身の回りには鉄より重い元素が大量に存在しているからです。銅なんて10円玉としてあふれるほどありますしね。

ということは、私の体(を構成する物質)を含む地球圏は、少なくとも過去に一度は超新星爆発の只中にあったことになります。超新星爆発というのがどれほどすごい爆発なのか想像すらできませんが、我々の体(を構成する物質)は記憶しているはずなのです。

ちなみに、超新星爆発のあとにはブラックホールができることがあるそうです。太陽系がある銀河の中心には巨大なブラックホールがあるようですが、我々が経験した超新星爆発でできたものかもしれませんね。